本校では、昨年度から多文化・共生を多角的な視点から学ぶことを目的として、アイヌ民族の歴史や文化を学ぶアイヌPBLに取り組んでいます。
今年度は、より大規模・多角的・広い視野で学ぶために、アイヌ語消滅の危機に立ち向かう関根健司さん、世界へアイヌ文様の魅力を伝える関根真紀さん、現代と未来へアイヌ文化を発信し続ける関根摩耶さん、平取町や札幌大学をはじめ、多くの専門家・関係者の方々に協力をいただき、全国に類を見ない異例の学習プロジェクトを展開してきました。
小学校・中学校と比較して、教科専門性の高さ等の理由から「教師の個業化」や「授業改革の困難性」が課題としてあげられる高等学校。特に、私立高校ではそれらの傾向が強い反面、自主性と自由度を最大限に発揮し、独自の教育活動を行えるという強みがあります。
そのような実態のなかで、本校のアイヌPBLは、既存の枠組みを可能な限り取り払った学習プロジェクトとして実現しました。学年やコースの枠を超えて、20名以上の教師が協働した全教科横断型の学習を展開することにより、生徒たちが多様な学びに向かって本気で挑戦してきました。
ただ調べて発表するのではなく、「なぜそのテーマを選択したのか。」、「そのテーマの背景にはどのようなものが隠されているのか。」、「それまでの学習から導き出した結論は何か」といった視点で教師・生徒が一体となってとことん学びを掘り下げました。その学びのプロセスのなかで、アイヌ民族への敬意と感謝の気持ちが芽生え、生徒・教職員それぞれがこの学びの意義・意味を考え抜いた3ヶ月となりました。
今回の成果発表は、生徒が考え、悩み抜いて得た学びが蓄積・凝縮されていた素晴らしいものになっていました。この機会をきっかけに、多文化・共生の理解に向けてさらに質の高い学びへ昇華してくれることを確信しています。