2023年3月1日

札幌新陽高等学校

第63回卒業証書授与式

校長式辞

本日、札幌新陽高校を卒業される皆さん、おめでとうございます。新陽高校の教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。

また、皆さんをこれまで励まし支えてこられたご家族の方々にも、お祝いと感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。3年間、ありがとうございました。

今日までの3年間はきっと、平坦な道ではなかったと思います。皆さんが新陽に入学した2020年春、言葉通り「世界が一変」しました。

コロナによって高校生活は予想や期待とは全く別のものになったに違いなく、悔しさや苦労もあっただろうと思うと、門出を祝う言葉の中でこのことに触れるかどうか悩みました。

でも、ある生徒の言葉を思い出し、やはり触れることにしました。

その生徒は、「コロナで当たり前だった日常が当たり前ではなくなった。マスクをつけたり修学旅行に行けなかったり、もちろん不自由に感じるし不満もある。でもそういうコロナ禍での日常が自分たちの高校生活のリアル」だと言いました。そして、「この先、コロナがあけたら明るい未来があるかもしれないし、あるいはもっと酷い日常が待っているかもしれない。どちらにしても僕らの日常は続いていく。」と。

この混沌とした時代の転換点で、高校生という特別な時間を過ごした皆さん。新しい時代を創る一翼を担った世代であることは間違いありません。

皆さんが頑張ってきたことを、新陽の先生たちはよく知っています。私もこの2年間、たくさんの本気で挑戦する姿に感動し、勇気をもらいました。

だからどうか、不確実で変化が激しい時代に高校生として3年間やりきった自分を褒めてあげてください。横を見て、隣の友人を讃えてあげてください。仲間と一緒に新陽で学んだ3年間を誇りに思ってください。

これから、それぞれ選んだ道を歩んでいく皆さん。道を進めば、またいろいろなことがあるでしょう。予想を超えて良いことが起こることもあるし、思い通りにならないこともきっとあります。悩んだり迷ったりするかもしれません。

ただ、どんなときも自分をなくさないでください。

あなたの人生はあなたのもの。
だから、自分の選択が正しかったと思えるように、全力で取り組んでください。自分が選んだ道を「正解」にできるのは自分だけです。

しようとしている挑戦が無謀だと誰かに言われても、できるわけがないと笑われても、自分の願う未来を簡単に諦めないでください。あなたの挑戦を応援してくれる人が必ずいます。少なくともあなたを信じる新陽の仲間たちや先生方がいることを忘れないでください。

皆さんは一人ひとり、自分の道を拓くための力をもう十分に持っています。

予測できない変化に対応する柔軟性。
制約の中で新しいアイデアを形にする創造性。
多様な個性や価値観を認め合い助け合う協働性。
なにより、自分で考え、自分で決める主体性。

卒業証書はその証です。

卒業式のことをアメリカの多くの大学では「Commencement」と呼びます。「Commencement」とは「始まり」という意味です。

今日は、別れではなく、始まりの日。皆さんの新たな旅が始まる日です。だから「さようなら」ではなく、「また会いましょう」と笑顔で見送りたいと思います。

「行ってらっしゃい!良い旅を」

2023年3月1日
札幌新陽高等学校長 赤司展子