2024年3月1日

札幌新陽高等学校

第64回卒業証書授与式

校長式辞

本日、札幌新陽高校を卒業される皆さん、おめでとうございます。新陽高校の教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。

皆さんをこれまで励まし支えてこられたご家族の方々にも、お祝いと感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。3年間、ありがとうございました。

さて、64期生の皆さんと私は新陽高校での生活を一緒にスタートしました。2021年4月9日、皆さんが新陽生となったあの日、私も校長として初めての入学式でここに立っていました。

一人ひとり名前が呼ばれ、マスク越しでも伝わる期待や不安の表情を見ているうちに、大切な皆さんの3年間を預かる責任の重さと、その貴重な日々をこれから一緒に過ごせるという喜びを感じ、胸がいっぱいになると同時に頭が真っ白になってしまいました。皆さんにとっては一生に一度しかない高校の入学式に、校長が式辞の冒頭に何度も噛むという失態、あらためてお詫びします。

そこからなんとか持ち直した後、私がどんな話をしたか覚えているでしょうか。

まず、初代校長の水沼先生が「自主創造」という校訓に続けた「この道は自ら拓くべし」という言葉への、私なりの解釈でした。

自ら道を拓くとは、主体的に物事に向かい自分で決めて進んでいくこと、自らの意思を持って新しい何かを創り出すことだと思う、と話しました。それから、この校訓を体現するために『個性』『共感』『勇気』の3つを大切にしてほしいと伝えました。

あれから3年が経ちました。

今まさに自分で決めたそれぞれの道へ歩き出そうとしている皆さんは、新陽で大いに学び、挑戦という経験を積み、課程を立派に修了しました。卒業証書はその証です。様々な知識や探究的に学ぶ力、プレゼンテーション力、デジタルスキルなど、多くのことを身に付けました。

でも、本当の意味での成果には、まだ気付いていないかもしれません。もっと目に見えない大切なものが皆さんの中に根付いているはずです。

皆さんがこれから歩む社会は、必ずしも新陽のように寛容であるとは限りません。先生や仲間たち、新陽で出会った人たちがどれだけ多様で多彩だったか、そこで育まれた自分の多様性に対する感度がいかに高いか分かるのは、たぶんもう少し先のことです。

自分には挑戦する勇気があること、どんな挑戦でも本気で応援してくれる友達や先生がいるのが当たり前ではないことを実感するのも、卒業してしばらく経ってからになるでしょう。

いつか、新陽高校の「本気で挑戦する人の母校」というスローガンや「人物多様性」というビジョンが皆さんの力になる日が必ず来ます。

だからどうか新陽で過ごした日々や学んだことに自信を持って、自分の道を切り拓いていってください。
挑戦を愉しんでください。
自分で限界を決めず、むしろ限界を超えてください。
自分が生きたいように生きてください。

新陽に一緒に入学した同期のような皆さんを送り出すのはとても感慨深く、名残惜しい気持ちもありますが、卒業は、人生という旅の中にある一つの通過点に過ぎません。皆さんの次のステージの始まりにエールを送り、笑顔で見送りたいと思います。

本日はまことにおめでとうございます。

2024年3月1日
札幌新陽高等学校長 赤司展子

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