本日、札幌新陽高校を卒業される皆さん、おめでとうございます。新陽高校の教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。

皆さんをこれまで励まし支えてこられたご家族の方々にも、お祝いと感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。３年間、ありがとうございました。

皆さんが入学した2022年4月9日。新陽高校の65期生、そして単位制1期生となった皆さんに送った式辞の中で、RADWIMPSの「正解」の歌詞を引用しました。それは、こんなフレーズでした。

「新陽に入学するまでは、誰かが出した問いばかりに答えてきたかもしれないし、既にある正解を早く出すことを求められてきたかもしれない。でも新陽では、この歌のようにあなただけの正解を探し求めてほしい。大人も知らない正解を、一緒に探していきましょう。」と伝えました。

あれから３年。
自分だけの正解は見つかりましたか。
仲間や先生と正解をつくってきましたか。

皆さんは本日をもって、新陽高校から旅立っていきます。３年間のたくさんの思い出を胸に皆さんを見送るこの時に寂しさを感じずにはいられませんが、卒業は、新たに始まるキャリアのスタート地点です。だから今日は笑顔で、これからの話をしたいと思います。

「キャリア」という言葉。その語源は、ラテン語の「轍（わだち）」だと言われています。轍とは、馬車の後ろに残る車輪の跡のことです。そこから、人が通った足跡や経歴のことをキャリアと言うようになりました。つまり、キャリアは皆さんの歩んだ後にできていくものです。

人生は、選択の連続です。どちらに進むか、何を選ぶか、迫られる場面がきっと何度となく訪れます。その時、どうするのが正解でしょうか。皆さんはもう、わかっていますね。そう、正解はまだ誰も知りません。たった一つの正解はなく、道は自分で拓くのです。

この３年間、皆さんは、全国に例のない単位制カリキュラムやハウス制を私たち教職員と一緒にゼロから作ってくれました。自由な校則や自治を目指した生徒会活動の中で、一人一人が個性を磨き、考えて決める力や人と協力して新しい価値を創造し実現する力を身につけました。皆さんなら、自分らしいキャリアを描いていけるはずです。

それでもこの先、うまくいかないことや苦しいこと、悩む場面もあるでしょう。そんな時は、新陽で過ごした日々を思い出してください。仲間と一緒に成長した自分を信じて、あなただけの正解を探し求めることを諦めないでください。

人生の岐路に立った時、自分の心に正直に、やりたいほうを選んでください。もし、どちらもやりたい道ならば、敢えて難しいほうを選ぶのがいいと思います。
そして何より大事なのは決めた後です。選んだ道が自分にとっての「正解」になるように、力を尽くしてください。

皆さんのこれからの人生がそれぞれの色で輝くよう、心から祈っています。そして、また逢う日まで、私も自分だけの正解を探し続けます。

終わりに、RADWIMPSの「正解」の歌詞の最後を読みあげ、私からの式辞を結びたいと思います。

2025年3月5日
札幌新陽高等学校長　赤司展子