2019年6月26日(水)

  

保護者のみなさまへ

 
                                              札 幌 新 陽 高 等 学 校 
                         校 長 荒 井  優
 
 
いつも大変にお世話になっております。
新しい年度が始まって2ヶ月半、新しい元号が始まって1ヶ月が経ちました。
先日も全1年生がYOSAKOIソーラン祭りに参加して、活気ある踊りを披露してくれました。また、2,3年生の上級生も初めて定期考査(中間テスト)が無い学期を過ごし、日々の授業や課題に取り組んでいます。今年度から始めたコース制により他学年との合同授業が行われるなど学校生活にも新たな変化が生まれています。昨年に比べ倍の生徒数になる3年生の進路支援が十分にできるよう学校一丸となって活動していきたいと考えています。
 
さて、そうした、みなさまにご報告があり、筆を執らせていただきました。
この度、佐賀県の共学中高一貫校である「東明館中学・高等学校」を運営する「学校法人 東明館学園」の理事長に7月1日付けで就任することとなりました。学校法人東明館学園の慈道理事長、東明館と教学連携をしている学校法人立命館の森島理事長から東明館中学・高等学校の経営改革をするために次期理事長就任の相談を受け、学校改革に本気で挑戦する姿勢に共鳴するとともに、可能性にあふれる学校に通う未来のある生徒たちの一助になればと思いお引き受けした次第です。(詳細は後述させていただきます。)
 
新陽高校を運営する学校法人札幌慈恵学園の理事会・評議員会からは「新陽高校の校長としての役割を引き続き全うすること」を前提として認めていただきました。新陽高校の校長をこれまで通り務めながら、東明館の経営を行っていきますことを皆様にもご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 
昨年の9月のオープンスクールで、「新陽高校が日本の高校を変える」と説明をさせてもらいました。私達の挑戦はまだ始まったばかりですが、新陽高校がこの4年間で進めてきた学校改革は、北海道はもとより日本全国や最近では海外でも知られるようになり、多くの生徒、保護者、ひいては学校関係者が新陽を例に「学校は変われるのだ」と信じてくれるようになりつつあります。
 
新陽高校の生徒とPTAの皆様と共にこれからも歩んでいきますので、引き続き新陽高校の学校教育へのご協力をよろしくお願いいたします。
 
 
 

1.東明館の理事長を引き受けることになった経緯について
 
①きっかけ
 
2018年の4月に立命館アジア太平洋大学の入学式に伺った際に、佐賀県で進学校として有名な「東明館中学校・高等学校」を経営する学校法人東明館学園の評議員の皆さんとご一緒する機会がありました。その際に「一度、新陽高校の学校改革の取り組みを東明館の経営陣に話してほしい」と依頼を受け、5月に学校法人東明館に伺い、評議員・理事の皆さんの勉強会でお話をしました。
今年に入って、東明館と教学連携をしている立命館大学の森島理事長から「東明館の次期理事長を引き受けてもらえないか」というご相談をいただきました。学校法人東明館学園の慈道理事長(元立命館アジア太平洋大学副学長、元学校法人立命館常務理事)からも「次の時代を担う人に東明館の経営を託したい」というお話をいただきました。
 
②東明館から選ばれた理由
 
東明館が立命館と教学連携をした2014年より理事長、校長、法人事務局長に立命館OBが着任して運営に当たってきました。当初より理事長をお務めされてきた慈道裕治氏の後任を選ぶ際に、新陽高校の学校改革と探究コースの創設など新しい学校づくりの実績および、ソフトバンクの社長室に勤務していた際の佐賀県や福岡県での活動を評価いただき、お声がけ頂いたと伺っています。
 
③理事長就任を決意した理由
 
東明館中学校・高等学校は佐賀県内の進学校として知られ、また、博多から電車で30分ほどでもあることから福岡県からも多くの生徒が通っています。卒業生には経営者、企業幹部、弁護士など各界で活躍している人が多く、中でも医学部への進学実績は広く知られていて、九州各地に多くの医者を輩出しています。
ところが、少子化の影響もあり近年は入学者が減少し経営環境も厳しくなってきていました。
しかし、1年前に東明館を訪ねた時に、生徒さんたちの姿勢や眼差し、先生たちの表情や声からはこの学校には大きな可能性があると思って見ていたので、ぜひ頑張って学校運営をしてほしいという気持ちでした。
今回、次期の理事長職をご相談いただいたことは私自身がこれまで学校法人東明館学園、学校法人立命館とは直接的な関係は何もなかったので、思い切った人選をされたことに驚くとともに、それだけ、今の東明館が厳しい状況にあって関係するみなさんが困られているのだと思いました。思えば、東北の震災復興のための公益財団法人を設立して専務理事になったのも、経営難に陥った新陽高校の校長になったのも、「困った人のために役立ちたい」という想いからでした。目の前の人たちに必要とされているのであれば断れないと思いましたし、この4年間の新陽高校の学校改革をともに行ってきた在校生、卒業生、保護者、教職員、地域の皆様の努力が評価されたことだとも思いました。
 
また、私を育ててくれたソフトバンクの孫社長の出身である佐賀に恩返しをしたいという思いもどこかにあります。気がつけば出身大学の早稲田大学の創設者である大隈重信公も佐賀出身、また、明治維新の後に札幌の開拓に寄与された島義勇も佐賀七賢人のお一人であり、札幌に戻ってきて新陽高校の校長になって4年が経ちますが今の自分がここ札幌にあることと佐賀が無縁では無いのだとも感じています。
 
2.東明館学園について
 
設置者:学校法人東明館学園
学校名:東明館中学校・高等学校
①住所:佐賀県基山町宮浦683番地
②生徒数:中学校112名/定員360名 高校254名/定員600名
③特色:昭和63年に開校した東明館中学校・高等学校は、男女共学の中高一貫校として佐賀、福岡を中心に九州北部から生徒を募集し、寮での学習を含めた進学指導・人材輩出により理系・医薬系学部への進学校として定評を得てきました。
 
3.今後、新陽高校と東明館学園との業務配分について
 
新陽高校の校長を7割、東明館中高の理事長を3割くらいの割合で考えています。
私立高校における理事長職とは学校法人全体の経営者です。東明館ではこれまで校長代理として務められてきた花上氏を校長に任命して、校長以下の教職員が働きやすい体制を作ることに注力していきたいと考えています。新陽高校は学校法人札幌慈恵学園が運営していて理事長は私の父親が4年前より務めています。現職の衆議院議員でもある理事長の父からは理事会を通じて学校法人を運営する術を学んできました。札幌と佐賀は距離は離れていますが、今はWEB会議などを通じて打ち合わせもしやすい環境が整っていますので、校長と理事長の両方の職務を全うできると考えています。
 
ただし、東明館の理事長を引き受けるにあたって、昨年の7月から務めてきた学校法人札幌慈恵学園の企業主導型保育園「めぐみナーサリースクール」の園長は退任しました。また、昨年から講演の機会が多くあり全道・全国各地に伺ってきましたが、すでに予定されているものは別として、今後はお断りせざる得ないことが増えていくと思っています。
 
また、従前より、「校長室に行ってもゆたかさんがいない」という声が生徒からありましたので、今後は定期的に「yuta/cafe」を開催して生徒や保護者の皆さまなどと交流できる機会を設けたいと考えています。具体的には以下の日程で校長室または人数によっては多目的ホールで行いたいと思います。実行委員会形式でPTAや生徒のみなさんと行えれば幸いです。
 
<yuta/cafe近日開催予定日>
7月11 日(木)16時〜18時半
8月22日(木)16時〜18時半
 
4.東明館の理事長になることによる新陽高校へのメリットについて
  
東明館は医薬学部への進学指導に秀で立命館大学とは教学連携をしています。一方、新陽高校は探究学習の学校として広く知られています。両校で連携協定を結び、東明館・新陽高校の教育環境を両校の生徒や教員が活用できるようにしていきたいと考えています。校舎やグラウンドや寮の相互活用などを通じて北海道と九州の生徒・教員の交流を深め、『出会いと原体験』の機会を作っていきます。また、東明館にはこれから探究コースを導入していきますが、その過程で新陽高校探究コースの在校生にはプロジェクト学習の一環として関わってもらう予定です。さらには、九州には九州大学、立命館アジア太平洋大学、長崎大学、北九州市立大学など新陽高校の生徒におすすめできる大学がいくつもあり、そうした大学に進学を希望する生徒へのサポートも行っていきたいと考えています。
 
東明館からJR快速電車で20分の距離にある福岡市は人口150万人と札幌市よりも人口が40万人少ないですが、ベンチャー企業の誘致や育成にとても熱心で日本で最も元気のある街として知られています。また、アジアの玄関口として国際色が豊かな地域でもあり、新陽高校の生徒たちにもこのダイナミクスを感じてもらい将来の進路選択の参考にしてほしいと思っています。
 
北海道と九州は遠く感じますが、新千歳空港と福岡空港は2時間半のフライトでLCCの飛行機だと片道1万円ほどで行くことが可能になっています。また東明館中高は福岡空港から高速バスで40分ほどのところにあるので、新千歳空港からバスで1時間ほどの新陽高校とともに交通の便が良いことを活かしていきたいと思います。
 
5.今後のビジョン 
 
東日本大震災の復興支援活動を通じて感じてきたのは学校という「場」の大切さでした。子どもたちが育っていく「場」は地域の未来そのものであり欠かせないところなのだということを東北の方々から学びました。祖父が創立した高校の校長になって感じたことは、「学校は変わる」ということでした。「学校に関わる人達が変わっていく、それこそが学びなのだ」と言ってもいいと思います。
いま、全国各地で学校が無くなり、また多くの人が学校は変わらない、と嘆いています。でも、地域は学校を失ってはいけないし、学校自体は変わっていけると信じて行動することが大切です。子どもたちだって、大人たちだって、学ぶことで変わるように。新陽高校の学校改革と東明館の学校運営をすることで、そうした考えを世の中に広げていきたいと思います。ゆくゆくは、日本の半分の高校(2500校/5000校)に探究コースが導入されて相互に生徒が行き来する高校教育を実現したいです。これにより世界に誇る高校教育が出来上がると考えています。
 
なお現在、以下の公職・役職を務めております。学校法人札幌慈恵学園および学校法人東明館以外の職は、外部アドバイザーとしての立場を担っております。
 
学校法人 札幌慈恵学園 常任理事/法人本部長/札幌新陽高等学校 校長
学校法人 東明館学園 理事長
公益財団法人 東日本大震災復興支援財団 理事
公益財団法人 東京子ども図書館 評議員
一般社団法人 野遊びリーグ 理事
社会福祉法人 石狩友愛福祉会 評議員
NPO法人 キッズドア アドバイザー
NPO法人 ファンドレイジング協会 ビジョンパートナー
株式会社シーラクンス(サツドラホールディングス子会社) 社外取締役
福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会 委員